建設業の許可、更新、届出

Ⅰ 建設業の許可の中身

1.建設業を始めるには都道府県知事または国土交通大臣に許可を申請する必要があります。

 ⇨例外:軽微な工事「のみ」行う場合許可不要

①許可はまず、国土交通大臣許可と都道府県知事許可に分かれます。

 国土交通大臣許可:契約締結する営業所が2以上の都道府県にある場合。

 都道府県知事許可:契約締結する営業所が1つの都道府県の場合


 都道府県知事許可であっても、日本全国どこの現場の工事でも請け負うことができます。「契約締結する営業所」とは、簡単に言えば、請負契約 書に捺印する代表者がいる営業所のことで、全ての契約を代表取締役社長1人でが行う場合には、都道府県知事許可でOKです。


②次に、特定建設業と一般建設業に分かれます。

特定建設業 下請けに出す契約金額が3,000万円以上(建築一式は4,500万円以上)

一般建設業 下請けに出す契約金額が上記金額未満


 したがって、下請け工事しか行わない、または自社で施工するなど、「下請けに出すことが無い」場合は一般建設業でOKです。

 特定建設業は元請けや1次下請け業者とイメージしていただければいいかと思います。


 以上から、通常「国土交通大臣許可」「都道府県知事許可」「一般」「特定」の4つに分類されることになり、たとえば「国土交通大臣許可・特定建設業」や「○○県知事許可・一般建設業」という形になります。


③行う業務の内容により28業種(2015年4月からは29業種)あり、それぞれ許可を受ける必要があります。

 具体的には「左官工事」「とび・土工・コンクリート工事」「屋根工事」「管工事」「内装工事」「電気通信工事」といった具合です。


2.許可を受けるための要件があります。

①「常勤の」役員または個人事業主である経営業務の管理責任者がいること

②営業所に「常勤」の専任技術者がいること

③財産的基礎

④役員等の誠実性

⑤その他


①「常勤の」役員または個人事業主である経営業務の管理責任者がいること

「経営業務の管理責任者」になる要件は、同じ業種の建設業であれば5年、異なる業種の建設業であれば7年以上の建設業の経営業務の管理経験が必要です。


②営業所に「常勤」の専任技術者がいること

「専任技術者」になれる人は、一般建設業の場合、10年以上(指定学科を卒業した高卒は5年、大卒は3年)以上の実務経験または国家資格を有する者です。特定建設業の場合、さらにハードルが高くなります(ハードルは業種により異なります)。


③財産的基礎

一般建設業の場合、直前の決算で自己資本(貸借対照表の純資産合計)が500万円以上、または金融機関が発行する預貯金残高証明書(通帳のコピーではダメです)が500万円以上あることが必要です。特定建設業はさらにハードルが上がります。


④誠実性は、役員等が暴力団構成員でないこと、などです。


⑤その他として、法人(会社)、役員、個人事業主等が欠格要件に該当しないことです。


Ⅱ 許可を受ける費用と必要書類

1.国または都道府県に納める費用【登録免許税】

①新規、般特新規(一般から特定へ、または特定から一般に変える場合)

許可換え新規(他の都道府県から許可を変える、大臣許可から都道府県知事許可へ、都道府県知事許可から大臣許可へ換える)場合

都道府県知事許可 9万円、国土交通大臣許可 15万円

②業種追加または更新(有効期間5年) 都道府県知事許可・国土交通大臣許可とも5万円


2.必要書類

正直…たくさんあります。また、面倒です。

項目だけ挙げておきます。(それぞれに説明をつけるとかなりの量になりますので)

建設業許可申請書、工事経歴書(全くの新規創業でも必要)、直前3年の各事業年度における工事施工金額表、使用人数表、誓約書、経営業務の管理責任者証明書、専任技術者証明書、実務経歴書等、国家資格者等・監理技術者一覧表、会社の定款、財務諸表、登記事項証明書、営業の沿革、所属建設業者団体、納税証明書、健康保険等の加入状況、主要取引金融機関名、役員一覧表、許可申請者の略歴表、株主(出資者)調書、確認資料


確認資料としては、社会保険の加入を証明する資料、(成年被後見人や被保佐人に)登記されていないことの証明書、身分証明書(区市町村長発行)、営業所の確認資料として外観の写真や内部の図面などなど。


上記書類には有効期間のあるもの(発行から3か月以内等)、裏付け資料が必要なもの(卒業証明書等)があります。もちろん申請書等の書式は決まっています。

申請書のセット一式、記載の手引等は各都道府県の売店等で手に入ります(有料の場合と無料の場合あり)


Ⅲ 許可の有効期間、許可後の届出、手続

1.許可の有効期限は5年です。したがって、5年ごとに必要書類、確認資料(一部不要なものもあります)を添付して「許可更新申請」を行う必要があります。

2.届出・手続

①毎年必要なもの

 決算報告 税務申告のものと異なり「建設業用」の財務諸表を作成する必要があります。

②変更の都度必要なもの

 営業所、資本金、役員、経営管理責任者、専任技術者

③廃業したとき(会社が存続する場合でも必要)

 廃業届